平成30615日に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行された。これに伴い、国税庁は同法に規定する、住宅宿泊事業(いわゆる「民泊」)により生じる所得の課税関係等について取りまとめている。
 まず、民泊を行うことで得る所得の所得区分については、原則として「雑所得」に該当する。所得税法上、不動産の貸し付けによる所得は、原則として「不動産所得」に区分されるが、民泊の性質や事業規模・期間などを踏まえると、一般的な不動産の貸し付けとは異なることから、「不動産所得」ではなく「雑所得」となる。
 ただし、不動産賃貸業を営んでいる者が、契約期間の満了等による不動産の貸し付け終了後、次の賃貸契約が締結されるまでの間、当該不動産を利用して一時的に民泊を行った場合に得る所得については、「不動産所得」に含めても問題ない。また、専ら民泊による所得で生計を立てているなど、その民泊が事業として行われていることが明らかな場合には、「事業所得」に該当する。
 民泊による所得金額は、民泊に係る収入金額から必要経費を控除することで算出するが、必要経費に算入できる費用については、その収入金額を得るため直接に要した費用、その年における販売費、一般管理費その他民泊による所得を生ずべき業務について生じた費用が該当する。支出した費用のうち、仲介業者に支払う仲介手数料や管理業者に支払う管理費用など、民泊を行うためにのみ支払うものについては、それぞれ全額を必要経費に算入できる。一方、水道光熱費
や固定資産税など、生活用部分の費用が含まれている場合は、民泊に関する業務用部分の金額のみ必要経費に算入できる。この場合、例えば、総床面積のうち主に民泊に利用している床面積の占める割合を基にするなど、合理的な方法により区分して計算する。
 なお、消費税法上、住宅の貸付けは非課税とされているが、民泊において宿泊者から受領する宿泊料については、ホテルや旅館などと同様に消費税の課税対象となる。ただし、当課税期間の基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高および特定期間(個人は前年の1月から6月、法人は前事業年度開始の日以後6ヵ月)の課税売上高等が1千万円以下の場合、当課税期間は原則として免税事業者に該当するため、消費税の申告・納税義務はない。