人工衛星

人工衛星の画像を分析し、防災対策やビジネスに活かそうとする動きが広まりつつあります。従来、地球の観測は気球や航空機から写真を撮影する形で執り行われていました。ただ、これらは観測できる範囲が限られているため、広範囲を一度に撮影することは難しいとされていました。人口衛星は宇宙から全世界を見渡せる点が大きな特長です。最近は、広範囲に撮影できる衛星画像の有用性が見直されています。

 人工衛星が撮影した画像は様々な分野に活用できます。たとえば、都市における二酸化炭素濃度の変化の算出、風力発電の発電量の把握、さらには山火事リスクの予測などが可能です。また、水田の色を分析し、稲の生育状況を把握して収穫時期を決定するといったことにも活用できます。

 ほかにも、衛星ならではの使い方として、港湾のコンテナの量の変化をとらえるといったことも可能です。観測衛星は3メートルの大きさの物体を見分けることができるので、衛星で撮影した画像を解析することで、港湾に出入りするコンテナを把握することができます。実際、名古屋港では、車やコンテナとみられる物体は2020年3月から減少傾向にありましたが、10月から年末にかけて回復傾向が続いたといいます。そして、2021年に入り、再び減少傾向となっています。画像を解析することで、自動車の販売台数がコロナ禍の影響で増減していることがわかります。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが打ち上げた衛星には、地球観測衛星の「だいち2号」や「いぶき2号」、気候変動観測衛星「しきさい」などがあります。撮影した画像を活用するための基盤も整いつつあり、今後、活用はさらに増えることが予想されます。

 人工衛星の画像を分析し、防災対策やビジネスに活かそうとする動きが広まりつつあります。従来は、データの入手や解析に関する共通の基盤がないため、解析のコストが高い、手間がかかるといった課題がありました。最近は、データベースを提供するサービスも始まり、人工衛星が撮影した画像データは必要なときに引き出せるようになりつつあります。

 また、人工衛星の画像を利用できるプラットフォームも構築されました。プラットフォームの一つ、Tellus(テルース)では、人工衛星12機からデータを収集し、画像や地表面の温度などのデータを提供しています。会員登録でだれでも利用できます。もともと、衛星画像は高価で、1平方キロメートルあたり10万円以上もしました。また、解析はスーパーコンピューターを利用することが多い上、解析で使うツールは100万円以上もします。こうしたことから衛星画像の一般利用は敷居の高いものでした。ところが、プラットフォームができたことで、従来よりも容易にデータが活用できるようになりました。

 近年、衛星データに関する市場には電機メーカーなども参入しています。衛星の観測データを使った防災サービスの実用化などに取り組んでいます。実用化されると、豪雨時の浸水域を把握する、地盤沈下のリスクの高い場所を検出するといったことが可能になります。

 今後は、衛星情報を使った新たなサービスを創出することで、大きな利益に繋がることも期待できます。より多くのサービスが生まれることで、さらに、利用者が増え、衛星画像の市場はさらに拡大することが予想されます。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)